コンペは「機能比較」だけでは勝てません。顧客が判断する軸を設計し、自社に有利な土俵を作ることが重要です。私は過去、価格と機能だけで挑んで連敗し、勝率が一五%まで低下。評価軸を再設計し、リスクと実行計画を前面に出したところ、勝率は四〇%に戻りました。本記事では、情報戦・提案書・クロージング・稟議支援まで、コンペで勝ち抜くための戦略を全角で解説します。
0.体験談:連敗からの立て直し
官公庁案件で二連敗したとき、振り返りで分かったのは「顧客の評価軸が価格とリスク」だったのに、私たちは機能と価格だけを訴求していたこと。そこで「リスク低減」「導入スピード」「サポート体制」を評価軸に設定し直し、提案書を全面改訂。リファレンスコールとPoCを早期に提案し、三件目で逆転受注できました。
1.情報戦を制する
- 意思決定者マップを作り、評価軸(機能/価格/リスク/導入工数/運用負荷)を把握。
- 競合の強み・弱みを三点ずつ整理し、攻める/引くポイントを決める。
- RFPの裏にある真の課題をヒアリングし、非機能要件(運用・サポート・データ移行・セキュリティ)を顕在化。
- 過去コンペの勝敗分析で、勝ち筋と負け筋を特定。競合別の反論集を更新。
2.提案書で土俵を作る
- 評価軸を再定義:「総所有コスト」「導入スピード」「リスク低減」「運用サポート」など、自社が強い軸を前面に。
- 実行計画とガバナンス(導入責任者、スケジュール、リスク管理)を具体化し、安心感で差別化。
- 証拠の厚み:導入事例、ROI試算、PoCプラン、サポート体制、セキュリティ資料をセットで提示。
- 競合比較は「顧客のKPIに紐づく軸」で作り、勝てる土俵に引き込む。
3.クロージングとフォロー
- リファレンスコール/サイトビジットを早期に提案し、意思決定を前倒し。
- 反論処理テンプレートを準備し、決裁者の懸念を先読みして潰す。
- 決裁プロセスの段取り(稟議資料テンプレート、必要承認者、スケジュール)を共有し、社内手続きを支援。
- 条件設計(スコープ、期間、支払い条件)で価格以外の交渉軸を持つ。
4.ケーススタディ:評価軸を変えて勝率+25pt
大手製造業とのコンペで、競合は価格と機能優位。事前ヒアリングで「リスクと導入スピード」が重視されていると判明し、提案書を「導入三ヶ月短縮」「リスク低減策十項目」「専任CS体制」で構成。リファレンスコールを三件設定し、PoCプランを提示。価格は競合より一五%高かったが、「リスク低減」が決め手で受注。勝率が一五%→四〇%に上がりました。
5.決裁者向けエグゼクティブサマリー
- 三行で価値:課題・解決・成果。
- リスクと対策:導入リスク、運用リスク、法務・セキュリティ対策。
- 投資回収:ROIと回収期間。
- 実行計画:スケジュール、責任者、マイルストン。
- サポート体制:専任CS、SLA、サクセスプラン。
決裁者は時間がないため、一枚で「安心」と「回収」を伝える。
6.競合別差別化ポイントの作り方
- 競合A(低価格型):総所有コスト(TCO)と運用・リスクコストを含めた比較で逆転。サポートと導入スピードを強調。
- 競合B(機能特化型):運用のしやすさ、学習コスト、データ移行リスクを強調。ロードマップで追いつく計画を提示。
- 競合C(大手ブランド):俊敏さと柔軟性、カスタマイズ対応、短期PoCの機動力を打ち出す。
7.よくある失敗と回避策
- 失敗:顧客の評価軸を聞かずに提案 → 回避:意思決定者マップと評価軸ヒアリングを初回で実施。
- 失敗:機能比較で劣勢のまま戦う → 回避:評価軸を再定義し、勝てる土俵に移す。
- 失敗:反論準備なしで臨む → 回避:競合別反論集とテンプレを用意。
- 失敗:稟議を任せきり → 回避:稟議資料テンプレと決裁プロセス支援を提供。
8.コンペ前チェックリスト
- 評価者・影響者のマップを作成し、評価軸を把握したか。
- 競合の強み/弱みを整理し、攻め方を決めたか。
- 提案書で自社が強い評価軸を設定したか。
- 事例・ROI・PoC・サポート体制をセットで用意したか。
- 決裁プロセスを確認し、稟議支援資料を準備したか。
- リファレンス先とサイトビジット候補を確保したか。
9.付録:反論処理テンプレ(例)
- 「価格が高い」→「TCOとリスクコストを含めると◯円安くなります。回収は◯ヶ月です。」
- 「導入が大変」→「三ヶ月で完了する計画と専任体制を用意しています。導入タスクは◯%を弊社が担います。」
- 「セキュリティが不安」→「第三者認証と監査報告書、セキュリティ設計書を添付します。」
- 「他社も検討している」→「決裁に必要な比較軸を整理し、一枚にまとめました。意思決定の支援をします。」
10.付録:稟議支援パックの中身
- 稟議サマリー(一枚)
- 投資回収シート(ROI・回収期間)
- リスクと対策一覧
- 導入スケジュールと責任者
- サポート・SLA概要
稟議を「通りやすく」する支援が、コンペ勝率を上げます。
11.未来の拡張:インテントデータとAI
入札・コンペ情報とインテントデータを組み合わせ、競合出現率や勝率を予測するAIモデルを試験中です。提案書生成や反論提示も自動化し、コンペ対応の速度と質を上げていきます。
12.KPIとダッシュボード
- 勝率(全体/競合別)
- 決裁者同席率
- リファレンス実施率・サイトビジット実施率
- 稟議通過率・稟議リードタイム
- 提案書提出までのリードタイム
週次でこれらを確認し、ボトルネックを潰します。
13.よくある質問と答え
Q.価格で負けそうなときは?
A.TCOとリスクコストを提示し、条件設計(スコープ・期間・支払い)で価格以外の軸を作る。
Q.競合情報が取れません。
A.失注・受注の録音と顧客の発言を集め、競合比較表を更新。展示会やリファレンスでの情報収集も活用。
Q.決裁者に会えません。
A.エグゼクティブサマリーとリファレンスを先出しし、意思決定材料を届ける。紹介者を経由する。
14.現場ルーティン(私の場合)
- 月曜:競合別勝率を確認し、反論集を更新。
- 火曜:進行中コンペの評価軸と決裁者マップを再確認。
- 水曜:稟議支援パックを整備し、顧客へドラフト送付。
- 木曜:リファレンス・サイトビジットの設定を進める。
- 金曜:提案書のエグゼクティブサマリーをブラッシュアップ。
ルーチンがあると、コンペ対応が標準化されます。
15.失敗事例と学び
- 機能説明に終始:評価軸を設計せずに敗北。教訓:軸を作り、競合をその土俵に乗せる。
- 稟議放置:決裁者に届かず失注。教訓:稟議支援をセットで。
- 反論準備不足:価格指摘に即答できず失速。教訓:競合別反論集を更新し続ける。
失敗を振り返り、プレイブックに反映することが勝率改善の近道です。
16.チェックリスト(毎朝五分)
- 今日接触する決裁者/影響者をリスト化したか。
- 提案書一枚目(価値・リスク・回収)の更新をしたか。
- 競合別の反論を三つ用意したか。
- リファレンス候補と日程を確認したか。
- 稟議支援資料を送る準備をしたか。
五分の準備でコンペの流れが変わります。
17.スモールスタートのすすめ
いきなり全コンペでフルパックを作ると疲弊します。最初は「評価軸再定義」「エグゼクティブサマリー一枚」「反論集更新」の三つに絞り、二週間回して改善。その後、稟議支援パックやリファレンス整備を広げると負荷が抑えられます。
18.これから始める人への一言
コンペは「相手の土俵」で戦うと負けます。今日の提案書の一枚目を「リスク低減と回収」に変え、競合比較をKPI軸で作り直してみてください。小さな土俵設計が、勝率を大きく変えます。
19.テンプレ:エグゼクティブサマリー骨子
- 課題とリスク(顧客の言葉で一行)
- 改善後の成果(数字+期間)
- 導入計画とリスク対策
- 投資回収(ROI・回収期間)
- サポート・SLA概要
この一枚で、決裁者が判断できる材料を揃えます。
20.テンプレ:稟議サマリー(社内用)
- 目的と背景
- 提案内容(スコープ・価格・期間)
- リスクと対策
- 投資回収シミュレーション
- 参照資料リンク(セキュリティ・比較表・PoC計画)
顧客が稟議を書くときにそのまま転用できるようにしておくと、意思決定が速くなります。
21.社内連携のポイント
- プロダクト:競合比較とロードマップをすり合わせ、負ける軸を補完。
- CS/導入:導入計画とリスク対策を共に作り、実現性を高める。
- マーケ:事例・リファレンス先・ホワイトペーパーを常に最新に保つ。
- 法務・セキュリティ:監査報告書やポリシーを早期に準備。
社内が一枚岩になると、コンペでの安心感が増します。
22.費用対効果の試算メモ
- 勝率を一五%→四〇%に上げた場合の追加受注粗利を試算。
- リファレンス・PoC・稟議支援にかかるコストと時間を算出。
- 投資対効果を月次で報告し、コンペ体制への投資を正当化。
数字で語れば、リソース配分の合意が取りやすい。
23.データ品質と記録
- 提案書、エグゼクティブサマリー、稟議サマリーを案件に紐づけ、再利用できる状態に。
- 競合名、評価軸、勝敗理由を必須入力にし、ダッシュボードで傾向を確認。
- 反論集と比較表の更新日を明記し、旧版を削除。
記録が整うほど、コンペの再現性が高まります。
24.将来展望:自動比較と動的提案
競合情報をデータベース化し、顧客の要件を入力すると自動で比較表と反論集が生成される仕組みを開発中です。動的に評価軸を切り替え、自社優位の提案を即座に組み立てられる未来を目指しています。
25.私のマイルール
- 提案書一枚目に「価値・リスク・回収」を必ず入れる。
- 反論集は週一で更新、競合別に三つは即答できるようにする。
- 稟議サマリーは提案書と同時に渡す。
- リファレンスは二件以上、早期に設定。
ルールを徹底すると、コンペ準備の質が安定します。
26.これから始める人へ
次のコンペで、評価軸の再定義と稟議支援パックを一枚作ることから始めてください。それだけで勝率は変わります。
まとめ
コンペ勝利の鍵は「評価軸の設計」と「安心感の提供」。提案書で自社に有利な土俵を作り、証拠と実行計画で差別化し、稟議までリードする。懸念を先回りして潰すことで勝率は上がります。今日のコンペ準備から、評価軸の再定義と稟議支援パックの用意を始めてください。
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追補:競合他社とのコンペで勝ち抜くための差別化戦略【実録付き完全版】の現場ログ
初回は段取り不足で相手の温度を下げてしまい、メールを閉じたあとにしばらく固まりました。翌日はアジェンダと期待値合わせを冒頭で握り、三回目には痛み共有→ワオポイント→次の一歩の流れに固定。録画とメモをすぐに見返し、「誰がどこで頷いたか」をチームに共有すると再現性が高まりました。
ファネル別の深掘りポイント
- TOFU(初回接点): 導入前後のギャップを一枚で示し、「これが解けるか」を問いかける。事例は一つに絞り、問いかけ多めに進行。
- MOFU(検討): 比較軸をホワイトボードで作り、一緒に評価表を埋める。導入後の運用体制を具体的にイメージしてもらう。
- BOFU(決裁): 投資回収モデルとリスク低減策を数字で提示し、決裁者が持ち帰れる一枚サマリーを用意。
ファネルごとに深さを変えると、相手の思考速度に合わせやすくなる。
追加チェックリスト(実行レベル)
- [ ] 冒頭三分で期待値・ゴール・時間配分を握ったか。
- [ ] ワオポイントを最初の一〇分以内に配置できたか。
- [ ] 決裁者/利用者/ITの三役に向けたメッセージを用意したか。
- [ ] 質問・チャット・ホワイトボードで三分ごとに双方向を作ったか。
- [ ] 次の一歩(日時・同席者・資料)をその場で合意したか。
- [ ] 録画を一〇分以内に振り返り、改善一項目を即日反映したか。
グリーンフラグ/レッドフラグ(追補)
グリーン:相手が画面を操作し、チャットに質問が流れる。合意事項がその場で文字化される。再商談の日程がその場で決まる。
レッド:資料を読み上げ、質問は最後にまとめてでと言ってしまう。相手の関心が見えず、録画も振り返らない。
小さな兆候を早めに捉え、グリーンを増やす設計に戻す。
失敗→試行錯誤→気づき
最初は説明が多く、沈黙が続くたびに心拍が上がった。二回目は相手操作を挟んだものの、質問が浅く再商談に至らず肩を落とした。三回目で問いかけ→操作→合意を三分刻みで入れたら、相手の表情が柔らかくなり、私自身も手応えを感じた。同じ場数でも、その日のうちに言語化すると学びが残る。
一〇日間のミニスプリント
- 一〜二日目:既存スライドを削り、一画面一メッセージに整理。
- 三〜四日目:ワオポイントと決裁者サマリーを台本化し、ロープレ録画。
- 五〜六日目:実商談で台本を試し、質問回数と離脱時間を記録。
- 七〜八日目:録画レビューでレッドフラグを洗い出し、チェックリストを更新。
- 九〜十日目:改善版を再度実商談で試し、ダッシュボードに結果を反映。
小さく回すと、十日で成果の兆しが出る。
追加の問いかけリスト
- 「この課題を放置したときの一番のリスクは何ですか?」
- 「もし一つだけ自動化できるとしたら、どれを選びますか?」
- 「導入後、最初に喜ぶのは誰ですか?逆に不安になるのは誰ですか?」
- 「今日の話で、もう少し深掘りしたいポイントはどこですか?」
問いを準備しておくと、沈黙を恐れず双方向にできる。
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