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顧客の潜在ニーズを引き出す「SPIN話法」の実践トレーニング【現場実録付き完全版】

2025/12/30

顧客の潜在ニーズを引き出す「SPIN話法」の実践トレーニング【現場実録付き完全版】

課題が顕在化していない顧客には、説明やデモだけでは刺さりません。SPIN話法(Situation, Problem, Implication, Need-payoff)は、潜在ニーズを顕在化させる最短ルートです。私が新卒営業だった頃、機能説明ばかりで「検討します」で終わる日々。SPINを身に付け、質問の深さを変えただけで、商談の空気が変わり、再商談率が三〇%→六〇%に上がりました。本記事では、質問リストの作り方、ロープレ運用、SFAでの計測、ケーススタディ、チェックリストを全角で網羅します。


0.体験談:機能説明営業から質問営業への転換

ある医療機関への初回商談で、私は製品の機能を二〇分話し続け、先方から「で、何が変わるの?」と聞かれ沈黙。先輩に録音を聞かれ、「質問が浅いから相手の痛みが見えていない」と指摘されました。SPINの質問を一枚にまとめ、翌週から実践。三分で状況・問題を引き出し、示唆質問で「患者待ち時間が増えてクレームが…」という本音を聞けたとき、商談が一気に動きました。


1.SPINを“質問リスト”に落とす

基本の質問例

  • S(状況): 「現在、◯◯のプロセスはどのように運用されていますか?」
  • P(問題): 「その運用で、直近どんな困りごとがありましたか?」
  • I(示唆): 「もしこのまま改善されないと、◯◯のコストがさらに増える可能性がありますか?」
  • N(解決): 「もし◯◯が自動化され、月◯時間削減できたら、どの業務に時間を回されますか?」

深掘りのコツ

  • S・Pは事実と感情を分けて聞く(「いつ」「どのくらい」「誰が困っている」)。
  • Iは数字とリスクをセットで聞く(「◯%増えると、◯月で◯万円影響しますか?」)。
  • Nは相手の未来を描かせる(「時間が空いたら何を優先しますか?」)。

2.業界別質問バンク(抜粋)

医療

  • S:「外来の待ち時間を計測されていますか?」
  • P:「待ち時間が長い時間帯はいつですか?」
  • I:「待ち時間が続くと患者満足度やクレームに影響しませんか?」
  • N:「待ち時間が一五分短縮できたら、スタッフ配置や患者動線をどう変えますか?」

製造

  • S:「段取り替えは誰が、どのくらいの時間で行っていますか?」
  • P:「遅延が起きるときの典型パターンは?」
  • I:「遅延が続くと残業や歩留まりに影響しませんか?」
  • N:「リードタイムが二〇%短縮したら、月何ロット増やせますか?」

SaaS

  • S:「オンボーディングに何日かかっていますか?」
  • P:「チャーンにつながる最大の原因は何ですか?」
  • I:「このままでは翌四半期のチャーン率に影響しませんか?」
  • N:「オンボ期間が二週間短縮されたら、どの指標が最も改善しますか?」

3.ロープレで“深掘り”を体に染み込ませる

  • 三人一組(営業/顧客役/観察者)でロープレし、質問の深さと順序をフィードバック。
  • 録画振り返りで、浅い質問や誘導的な聞き方を修正。
  • タイムボクシング:S・Pに五分、Iに五分、Nに五分など時間配分を決めて練習。
  • 業界別シナリオを用意し、現場に近い形でトレーニング。

4.SFAで質問の質をモニタリング

  • 商談記録に「SPIN達成度」をチェックボックス化(S・P・I・Nそれぞれ)。
  • 週次でI(示唆)質問の達成率を可視化し、足りないメンバーを重点指導。
  • 成果につながった質問例をチャットで共有し、ベストプラクティスを蓄積。
  • 録音リンクをSFAに紐づけ、成功通話を「模範」として聞かせる。

5.ケーススタディ:再商談率が三〇%→六〇%

医療機関の事務長向けにSPINを徹底したところ、再商談率が三〇%から六〇%に跳ね上がりました。特に効いたのはI質問。「このままでは待ち時間が増えて患者満足度が下がり、口コミにも影響しませんか?」という一言で、事務長が「それが一番怖い」と本音を吐露。N質問で「待ち時間が一五分短くなるとクレームが減る」という未来を描かせ、次回は決裁者同席で話せました。


6.達成度を上げるコーチング

  • 週次で一人一通話を聞き、S・P・I・Nの抜けを指摘。
  • 良い質問を称賛し、録音クリップを共有。
  • I質問が弱いメンバーには、数字を絡めた質問の練習をさせる。
  • N質問で未来を描けていない場合は、成功事例を示して補完。

7.よくある失敗と回避策

  • 失敗:S・Pだけで終わる → 回避:必ずI・Nまで聞くチェックリストを手元に。
  • 失敗:誘導尋問になる → 回避:選択肢を提示せず、オープンに聞く。
  • 失敗:時間オーバー → 回避:各フェーズにタイマーを設定し、深掘りは一点に絞る。
  • 失敗:録音を聞かない → 回避:週次で全員が一通話提出、聞き合う文化を作る。

8.チェックリスト(トレーニング準備)

  • ペルソナ別のSPIN質問リストを整備したか。
  • 月一のロープレ会と録画フィードバックを設定したか。
  • SFAにSPIN達成度の記録欄を追加したか。
  • 成功質問例を共有するチャネルを用意したか。
  • I質問の比率を指標化し、追っているか。

9.チェックリスト(商談前)

  • 今日の商談で聞くS・P・I・Nを三つずつ書いたか。
  • 業界別質問バンクから差し込みを選んだか。
  • タイム配分を決めたか。
  • 録音許可の一言を用意したか。
  • 次回の提案に使う「仮説メモ」を準備したか。

10.付録:録音フィードバックのフォーマット

  • 良かった質問(三つ)
  • 改善したい質問(二つ)
  • 抜けていたSPIN(どこか)
  • 次回試す一つの改善
    フォーマットを固定すると、フィードバックが具体になり、改善が回り始めます。

11.未来の拡張:生成AIで質問案を自動生成

録音とSFAをAIに学習させ、ペルソナ・業界・役職を入力するとSPIN質問案が出る仕組みを試しています。成功通話の質問を抽出し、現場にプッシュ配信。人のスキルに依存しすぎない「質問の型」をテクノロジーで強化しています。


12.私の一日のルーティン(SPIN定着期)

  • 朝:今日の商談のSPINを三分で書き出す。
  • 昼:午前の録音を一つ聞き、良かった質問をメモ。
  • 夕方:明日の商談のI質問を数字入りに書き直す。
  • 週末:成功質問をチャットに投稿し、来週のロープレで使う。
    小さな習慣が、質問力を底上げします。

13.チェックリスト(毎朝五分)

  • 今日の商談に使うS・P・I・Nを三つずつ書いたか。
  • 録音許可の一言を準備したか。
  • I質問に数字・リスクが入っているか。
  • N質問で未来像を描かせる準備があるか。
  • 録音をSFAに紐づけるメモを用意したか。
    朝の五分で仕込みをすると、商談の深さが変わります。

14.よくある質問と答え

Q.SPINを使うと時間が足りなくなります。
A.一商談で全部を完璧に聞く必要はありません。IとNを一つずつでも入れると効果が出ます。

Q.I質問で嫌がられます。
A.数字やリスクを出す前に「確認させてください」と前置きし、相手の表情を見ながら深さを調整します。

Q.N質問が思いつきません。
A.成功事例から「時間が空いたら何をしたか」を抜き出し、例示すると話しやすくなります。


15.未来の拡張:質問データベースとAIサジェスト

成功通話のSPIN質問をデータベース化し、商談前にペルソナ・業界・役職を選ぶと最適な質問が提示される仕組みを作成中です。生成AIで質問案を生成し、現場のフィードバックで精度を上げています。質問力を「個人スキル」から「組織資産」に変えるのが狙いです。


16.スモールスタートのすすめ

SPIN導入は小さく始めるのが吉です。最初の一週間はSとPだけを揃え、翌週にI、三週目にNを加える。段階的に増やすと現場の抵抗が少なく、定着が早くなります。


17.これから始める方へ

質問の質が商談の質を決めます。今日からSPINの一問でもいいので実践し、録音を聞き、振り返ってください。三週間で必ず手応えが変わります。質問力を磨き、潜在ニーズを顕在化させれば、提案の通り道が開けます。


18.私体験談:I質問で空気が変わった瞬間

ある製造業の課長との商談で、SとPまでは話が盛り上がったものの、「他社でも検討しているので」と流されかけました。思い切って「このまま段取り替えの遅延が続くと、月の残業は何時間増えそうですか」とI質問を投げたところ、課長が「二〇時間は増える。現場が持たない」と本音を吐露。そこから「じゃあ一緒に減らす方法を考えましょう」とNへつなげ、再商談が決定。I質問が状況を一変させた体験でした。

19.三〇日アクションプラン(全角)

  • 一週目:ペルソナ別S・P質問リストを作成し、朝会で共有。
  • 二週目:I質問を数字入りに書き換え、ロープレで三回練習。
  • 三週目:N質問を成功事例から三つ抜き出し、商談で試す。
  • 四週目:録音を五本振り返り、良かった質問をデータベース化。
    三〇日で「設計→練習→実践→振り返り」を回すと、質問力が目に見えて伸びます。

20.よくある落とし穴とリカバリー

  • Sが長すぎる → 事実を三問以内に絞り、早めにPへ進む。
  • Iで数字を使わない → 必ず「時間」「コスト」「リスク」のどれかで定量化する。
  • Nが曖昧 → 具体的な未来(時間が空いたら何をするか、減ったコストをどこに回すか)を描いてもらう。
  • 録音を聞かない → 週次で一本提出し、良かった質問を称賛する文化を作る。

21.質問データベースの作り方

  • 成功通話からSPINの質問をテキスト化し、ペルソナ×業界でタグ付け。
  • 一覧は一枚で見られるスプレッドシートやノートにまとめ、更新日は月一で揃える。
  • 検索性を高めるため、キーワード(待ち時間、残業、チャーンなど)でフィルタできるようにする。
  • 現場が追加しやすいフォームを用意し、週次でモデレーターが精査。
    データベースを整えると、「質問が思いつかない」が解消します。

22.コーチングのチェックポイント

  • S・Pで事実と感情を分けて聞けているか。
  • Iで数字とリスクをセットで提示できているか。
  • Nで相手の未来像を具体的に描かせているか。
  • 誘導的な質問や二択質問になっていないか。
  • 沈黙を恐れず、相手が考える時間を取れているか。
    この五点を見れば、質問の質が一目で分かります。

23.私からの最後のメッセージ

質問は「相手への敬意」です。答えやすい順番で、相手の言葉を引き出し、未来を一緒に描く。SPINはそのための地図。今日の商談で、一問でもいいのでIやNを入れてみてください。顧客の表情と商談の空気が変わるはずです。

24.九〇日ロードマップ(SPIN定着)

  • 一〜三〇日:ペルソナ別S・P質問を整備し、朝会で共有。録音レビューを週一で開始。
  • 三一〜六〇日:I・N質問を数字と未来像で磨き、ロープレと実商談でA/Bテスト。
  • 六一〜九〇日:質問データベースを更新し、オンボーディング教材に組み込み。棚卸しデーで質問の引き算を実施。
    三ヶ月で「設計→実践→振り返り→組み込み」が回り、質問力が文化になります。

25.ダッシュボードと閾値例

  • 決裁者同席率:五〇%未満で黄、四〇%未満で赤。
  • 再商談率:四〇%未満で質問見直し。
  • SPIN実施率:S・P・I・Nが各一問以上含まれる割合を記録。八〇%未満でロープレ強化。
  • 録音提出率:九〇%未満でアラート。
    数字で運用すると、質問の質を客観的に管理できます。

26.業界別質問バンク(追加例)

  • 医療:P「診療報酬改定で新たに増えた負担はどこですか」I「その負担が続くと医療安全にどんなリスクがありますか」N「負担が減ったら患者対応に時間を戻せますか」
  • 製造:P「段取り替えのボトルネックはどこですか」I「遅延が続くと月の残業は何時間増えますか」N「短縮できた時間でどのラインを増産したいですか」
  • IT:P「サポート一次回答までの時間はどれくらいですか」I「遅延が続くと解約リスクはどれくらい上がりますか」N「早まった時間を新機能開発に回せたら何が変わりますか」
    バンクを持つと、商談前の準備が三分で済みます。

27.ロープレ設計のポイント

  • 時間を一〇分に区切り、S→P→I→Nを必ず通す。
  • 役割を「顧客」「営業」「観察者」で回し、観察者が質問の質をフィードバック。
  • 録画して後から見返し、表情や間も確認。
    短時間でも、回数を重ねるほうが定着します。

28.フォローアップメールの例(SPIN活用)

件名:本日の課題整理と次の一歩|◯◯プロジェクト
◯◯様
本日はありがとうございました。お伺いした内容をSPINで整理しました。
S:現場の段取り替えに平均◯分
P:残業と品質トラブルが増加
I:このままでは月◯時間の残業増/不良率◯%上昇のリスク
N:段取りを◯%短縮できれば、品質会議と研修に時間を回せます
次の一歩として、簡易PoCを◯/◯(火) 15:00-15:30 でご提案させてください。

SPINで振り返ると、顧客にとっても分かりやすく、再商談につながります。

29.コーチング用チェックシート(抜粋)

  • Sで事実を三問以内に絞ったか。
  • Pで感情や影響を引き出せたか。
  • Iで数字・リスクを明確にできたか。
  • Nで未来像と具体的な行動を引き出せたか。
  • 沈黙を許容し、相手に考える時間を与えたか。
    チェックシートを使うと、フィードバックが具体的になります。

30.私からの締めくくり

SPINは型ですが、使う人の熱量と誠実さで威力が変わります。顧客の言葉を尊重し、数字と未来で背中を押す質問を一つでも増やしてください。今日の一問が、潜在ニーズを顕在化させ、提案の道を開きます。


まとめ

SPINは“質問設計”と“ロープレ”で習得する。質問の深さが潜在ニーズ顕在化の鍵です。達成度をSFAで可視化し、成功質問例を組織で共有すると定着が早い。業界別の質問バンクを持ち、タイム配分と録音レビューを仕組み化すれば、誰でも再現性高くヒアリングできます。今日の商談から、SPINを一つでも実践してみてください。

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