営業ノウハウ・販路開拓

リード創出から商談化までのプロセス設計方法 — 医療スタートアップの現場で磨いたファネル運用

2025/11/25

リード創出から商談化までのプロセス設計方法 — 医療スタートアップの現場で磨いたファネル運用

医療・ヘルスケアのスタートアップで、大阪・関西・近畿の病院や法人を回りながら、リード創出〜商談化のプロセスを作り直しました。営業・事業開発・販路開拓の少人数体制で、支援会社・代行会社・コンサルを活用しつつ、ファネルを分解し、SLAとテンプレで回す方法をまとめます。病院・医療・ヘルスケア特有の審査や働き方改革にも対応できる設計です。

1. 前提とゴール設定

  • ゴール:商談化率○%、PoC合意数○件、稟議通過率○%、回収期間○か月を定義。
  • セグメント:病院/医療/ヘルスケアなら診療科・決裁フロー、一般BtoBなら業界・役職・導入動機。地域は大阪・関西・近畿に絞ると移動効率が上がる。
  • KPI:リード数、接触数、商談化率、PoC合意率、稟議通過率、回収期間、TCO、時間外削減。
  • 役割:支援会社=伴走でシナリオ・資料・PoC設計、代行会社=アウトバウンド、コンサル=戦略と設計。自社は価格・キーマン合意・稟議セットを握る。

2. ファネルの分解と設計

  1. リード創出:セミナー/学会展示、ホワイトペーパー、広告、紹介。医療なら学会リードを必ず取り込む。
  2. リード精査:代行とISが温度感を判定(BANT+審査日/キーマン/働き方KPI)。
  3. 初回商談設定:ISがオンライン/対面を設定。FSまたは支援会社が同席。
  4. 課題深掘りとキーマン特定:FSが課題、審査日、キーマン(情報部/看護部/ME/経営企画)を確定。
  5. PoC設計:目的・期間・評価指標(3〜5個)、撤退条件、費用負担、体制。
  6. 稟議準備:労務インパクト、回収期間、TCO、代替案比較、リスク対策、横展開。
  7. 契約・オンボーディング:教育計画、問い合わせ窓口、リリース管理。
  8. 定着・横展開:利用率、再教育、問い合わせ件数をモニタし、グループ病院/他拠点へ拡大。

3. スクリプトと資料束(最初の14日で用意)

  • スクリプト:セグメント別に初回〜PoC設計までの想定QAを準備。医療ではデータフロー・責任分界・働き方KPI・審査日を必ず聞く。
  • 資料束:課題と効果、運用フロー(夜勤・新人教育含む)、データフロー・ログ・責任分界、PoC計画、稟議セット、効果事例。
  • テンプレ:面談ログ(課題・キーマン・懸念・次アクション4行)、PoC/稟議テンプレ、デモ機・学会チェックリスト、SLA/R&R。
  • 生成AI:提案初稿とFAQ案、議事録要約をAIで作り、現場で手直し。速度が上がる。

4. アウトバウンドとインバウンドの運用

  • アウトバウンド(代行+IS):リスト精査→架電/メール→面談設定。週次でスクリプトとリード質を見直す。
  • インバウンド:セミナー/学会/ホワイトペーパーからのリードに即レス。審査日とキーマンを初回で聞く。
  • 移動最適化:大阪・関西・近畿で1日2〜3件に固め、オンライン併用。
  • SLA:応答時間、面談設定数、ログ提出、インシデント報告(24h/72h)を契約に明記。再委託禁止、反社、データアクセス範囲も含める。

5. 面談〜PoC設計の型

  • 初回で必ず聞く:課題、審査日(倫理・情報・購買・役員会)、キーマン、働き方KPI(時間外/夜勤負荷)、データ・セキュリティ要件。
  • キーマンマップ更新:病院なら情報部・看護部・ME・経営企画、一般BtoBならIT/情報・現場責任者・購買・経営。懸念と影響力をメモ。
  • PoC設計:評価指標は3〜5個(時間外削減、転記ミス、問い合わせ件数、TCO、回収期間など)。撤退条件と費用負担を明記。
  • 合意形成の場を押さえる:合同デモ→PoC設計会→中間報告→稟議前レビューまで日程を固める。
  • 働き方と地域文脈:関西・近畿の再編や時間外削減KPI、中期計画に紐づけ「今年やる理由」を作る。

6. 稟議セットと効果試算

  • 労務インパクト:時間外削減を週・月・年で人件費換算。夜勤や医師の工数も含める。
  • TCOと回収期間:導入・保守・教育・運用を分解し、回収期間を月数で示す。
  • 代替案比較:現状維持、人材派遣、代行会社、支援会社との比較を1枚で。
  • リスクと責任分界:障害時フロー、問い合わせSLA、バックアップ、再委託禁止。
  • 横展開:グループ病院/拠点へのスケール手順と追加コスト。

7. KPIとダッシュボード

  • 指標:リード数、接触数、商談化率、PoC合意率、稟議通過率、回収期間、TCO、時間外削減、問い合わせ件数、内製化進捗。
  • 更新頻度:週次で詰まりを1つ決め、改善策を決める。月次で成果と学びを振り返り、テンプレを更新。
  • 可視化:ステージ別の数値とリスク、移動時間、デモ機滞留、クレームをダッシュボードで共有。

8. 病院・医療・ヘルスケア特有の注意点

  • 審査日逃しは致命傷:倫理・情報・購買・役員会の日程を初回で確認し、カレンダー化。逃すと3か月遅れる。
  • データ・セキュリティ:データフロー、ログ、アクセス権、モデル更新、責任分界を初回で提示。
  • 働き方KPI:時間外削減を数字で示し、看護部と情報部の双方に刺さるように。
  • 文化差:大阪・京都・神戸で会議体やトーンが違う。ISが事前に把握し、FSが調整。
  • 撮影/録音禁止:病院では特に厳守。議事録はメモ+AI要約で対応。

9. 関西・近畿の事例(3つ)

  • 大学病院DX(文書生成):リードは学会展示と紹介。審査日を初回で押さえ、PoC指標を「申し送り時間」「問い合わせ件数」「誤生成率」に絞り、90日で審査通過。回収期間11か月。
  • 在庫・購買最適化:購買・薬剤・臨床工学を巻き込み、ワークショップで課題と指標を合意。半年で在庫圧縮15%、廃棄20%減。
  • 一般BtoB SaaS(製造業):アウトバウンド強化で面談数3倍、FSがシナリオ刷新で受注率1.5倍。回収期間短縮。

10. よくある失敗と回避策

  • 量だけ追う:商談化率が低下 → 温度感とキーマン情報を必須フィールドに。
  • 審査資料後出し:差し戻し → データフロー・責任分界・PoC計画を初回で渡す。
  • 評価指標が多すぎる:測れない → 3〜5個に絞る。
  • 内製化なし:外部依存が続く → 90日で移管マイルストーンを設定。
  • 地域特性無視:関西・近畿の再編や時間外KPIを入れずに温度が上がらない → 事前調査し、提案に織り込む。

11. 内部リンクと導線

  • 課題記事→解決記事→LPの流れで本文中に「詳しくはこちら」を自然に配置。
  • サイドバー/固定バナーで「医療業界特化 伴走型営業支援サービス」を案内。
  • CTAで「誰の時間をどれだけ減らすか」を繰り返し、課題と提案を結びつける。

12. チェックリスト(抜粋20項目)

  1. ゴール(商談化率、PoC数、稟議通過率、回収期間)を定義したか
  2. セグメントを3つに絞り、課題を1行で定義したか
  3. スクリプト/資料束/テンプレを14日で整備したか
  4. 審査日(倫理・情報・購買・役員会)を初回で押さえたか
  5. キーマン(情報部/看護部/ME/経営企画 or IT/現場/購買/経営)を特定したか
  6. PoC評価指標を3〜5個に絞ったか
  7. 働き方KPI(時間外削減)と地域再編を提案に入れたか
  8. データフロー・責任分界・PoC計画を初回で渡せるか
  9. 面談ログ(課題・キーマン・懸念・次アクション)を週次で共有しているか
  10. 移動を最適化し、1日2〜3件で組んでいるか
  11. デモ機/学会対応のチェックリストがあるか
  12. 代行・支援会社・コンサルとのSLA/R&Rを契約に明記したか
  13. ダッシュボードで週次に詰まりを見ているか
  14. 失注・差し戻し理由を記録し、次の仮説を立てているか
  15. LP/内部リンクの導線を整備したか
  16. 回収期間とTCOを稟議に入れたか
  17. 代替案比較を1枚で用意したか
  18. 横展開プロトコルを用意したか
  19. 内製化マイルストーンを90日で設定したか
  20. 「誰の時間をどれだけ減らすか」を全員が言えるか

13. ケーススタディ(追加2例)

ケース4:学会リードからの商談化(大学病院向け)

学会展示で集めたリードをISが即日分類し、審査日とキーマンを初回ヒアリングで確認。FSがデータフロー・責任分界を初回で提示し、PoC評価指標を「申し送り時間」「問い合わせ件数」「誤生成率」に絞る。90日でPoC合意、回収期間11か月の稟議通過。学会リードは鮮度が命と実感。

ケース5:ホワイトペーパー経由の一般BtoB

ホワイトペーパーDLリードをISが温度感と導入動機でスコアリング。代行が架電し、FSが初回同席。評価指標を「ダウンタイム」「保守コスト」「回収期間」に設定。3か月で面談数2.5倍、商談化率1.4倍。スコアリングとスクリプト更新が効いた。

14. 稟議・提案セットのサンプル(1構成案)

  • 目的と範囲:どの診療科/部署/業界で何を解決するか。
  • 評価指標:3〜5個(時間外削減、転記ミス、問い合わせ件数、TCO、回収期間など)。
  • データ・安全性:データフロー、ログ、アクセス権、モデル更新、責任分界。
  • PoC計画:期間、範囲、費用負担、撤退条件、体制。
  • 効果試算:時間削減→人件費換算、回収期間、代替案比較、働き方KPI。
  • リスクと対策:障害時フロー、問い合わせSLA、教育計画。
  • 横展開:グループ病院/拠点へのスケール手順。
  • 契約条件:SLA、成果連動、更新・解約条件。

15. よくある質問(Q&A)

Q:リード質が低いと感じるときは?
A:セグメントと課題の一文を見直し、スコアリング基準を更新。温度感判定とキーマン情報を必須フィールドにし、商談化率で代行/ISを評価します。
Q:面談後のフォローが追いつきません
A:ISが当日中に議事録要約と資料送付を担当し、FSは合意形成の次ステップ(日程・必要資料)を必ず明記。SLAで「当日送付」を定義すると遅延が減ります。
Q:価格競争に巻き込まれる
A:稟議セットに運用価値(時間外削減、TCO、働き方KPI)と代替案比較を入れ、回収期間を数字で示します。「なぜ今か」を中期計画や地域再編に紐づけます。

16. 内部リンクと導線(具体策)

  • 課題記事から本稿への導線を本文中に設置し、本稿からLPに「詳しくはこちら」を配置。
  • サイドバーや固定バナーで「医療業界特化 伴走型営業支援サービス」を案内。
  • CTAでは「誰の時間をどれだけ減らすか」を繰り返し、LPへのクリック理由を明確に。

17. 失注・差し戻し分析の進め方

  • 分類するだけで前進する:失注理由を「価格」「機能」「タイミング」「キーマン不一致」「審査資料不足」「地域事情(大阪・関西・近畿の再編)」に分け、感情ではなく事実で整理。
  • 再現性を探す:差し戻された稟議を読み直し、データフローや責任分界の抜け、働き方KPIの記載不足をチェック。次回のテンプレに追記。
  • 再アプローチの設計:半年後の審査日や次年度予算が分かれば、リマインダーと簡易アップデート資料をセットで送る。病院なら学会や診療報酬改定のタイミング、一般BtoBなら決算期や投資計画に合わせると通りやすい。
  • 学びの共有:週次で「失注から得た一行学び」を3つだけ出し、プレイブックに追記。支援会社・代行会社・コンサルにも共有し、スクリプトと資料束を更新。

18. 日次・週次・月次の運用リズム

  • 日次:ISは前日のログを整理し、温度感とキーマン情報を更新。FSは当日訪問の仮説(どの懸念を潰すか)を1行で書いてから移動。支援会社や代行会社とも朝5分で確認し、迷いを減らす。
  • 週次:ステージ別の詰まりを一つだけ選び、対策を決める。例えば「面談は多いがPoC設計で止まる」なら、評価指標と審査日ヒアリングをテンプレ化し、来週のトークに入れる。
  • 月次:KPIレビューと学びの共有。テンプレと資料束を更新し、SLAやR&Rを見直す。大阪・関西・近畿の再編情報や学会予定もここで確認し、翌月の訪問計画を固める。

このリズムを外すと、いつの間にか「リードが多いのに進まない」状態に戻ります。逆に、5分のレビューでも続けると、提案の一言目が変わり、商談化率がじわりと上がります。

19. まとめ

リード創出から商談化までのプロセスは、分解して役割とSLAを決め、テンプレで回すとスピードが上がります。支援会社・代行会社・コンサルを活用しつつ、審査日管理や働き方KPI、地域(大阪・関西・近畿)の文脈を織り込むことが鍵でした。今日も院内のカフェで5分だけ振り返ります。「誰の時間を減らせたか」「どの懸念を潰せたか」。答えが一つでもあれば、次のファネルは必ず前に進みます。
また病院へ。

追加リソース

リード創出〜商談化のスクリプトやテンプレ、伴走型支援の進め方はLPにまとめています。詳細は詳しくはこちらをご覧ください。

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