営業ノウハウ・販路開拓

営業活動におけるKPI設定と改善サイクル — 大阪・関西の現場で回し続けた「見える化」と微修正の型

2025/11/25

営業活動におけるKPI設定と改善サイクル — 大阪・関西の現場で回し続けた「見える化」と微修正の型

医療機器メーカーで営業部長を務め、今は支援会社のパートナーとして大阪・関西・近畿の病院や一般企業を回っています。病院・医療・ヘルスケアの営業は、商談が長期化しやすく、関与者も多い。数値で追わないとすぐ迷子になりますが、KPIが多すぎると現場が動かない。私は上司から「数字で語れ」と言われつつ、現場からは「数字だけでは動けない」と返され、板挟みになった経験があります。その狭間で、代行会社・コンサル・インサイド・フィールドセールスと一緒に試行錯誤した「少数精鋭KPI」と「週次の微修正」のやり方をまとめます。支援会社として伴走する立場からも、事業開発・販路開拓の方がすぐ使えるよう具体的に書きました。

1. KPIは4〜6個に絞る(最初の30日)

  • 量と質の両輪:リード数、接触数、商談化率、PoC合意数、稟議通過率、回収期間。この6つで十分。病院では稟議と回収期間が命。一般BtoBでは商談化率と回収期間を太字に。
  • 役割別に持ち場を明確化:代行会社はリード数と接触数、インサイドは商談化率、FSはPoC合意数と稟議通過率、コンサルは回収期間短縮の設計。支援会社は全体をつなぎ、バランスが崩れたら調整役に徹する。
  • 大阪・関西・近畿の移動事情をKPIに反映:1日2〜3件訪問で移動1時間以内を目安に。移動時間をカレンダーで見える化すると、面談数と商談化率が安定する。
  • 病院固有のKPI:審査日キャッチ率(倫理・情報・購買・役員会)、働き方KPI(時間外削減、夜勤負荷減、問い合わせ件数)。これを初回ヒアリングで押さえ、後工程で迷わないようにする。

2. 目標設定は「結果・手前・習慣」の3層で

  • 結果KPI:PoC合意数、稟議通過率、回収期間。四半期で追う。
  • 手前KPI:商談化率、提案数、合意形成の会議数(合同デモ、PoC設計会、中間報告)。週次で追う。
  • 習慣KPI:面談後24時間以内の議事録送付率、キーマン特定率、審査日記入率。日次で追う。習慣が乱れると手前・結果が崩れるので、最初に整える。
  • 数字と物語をセットに:関西の院内カフェで5分振り返り、「誰の時間を何分減らしたか」を一行で残す。数字だけのKPIより現場が動きやすい。

3. ダッシュボード設計のポイント

  • ステージ順に並べる:リード→接触→商談→PoC→稟議→回収まで一列にし、赤黄緑の3色で詰まりを示す。
  • 地域別の切り口:大阪・京都・神戸・奈良で分けると、移動効率と商習慣の違いが見える。大阪は意思決定が速いが慎重、京都は根回し重視、神戸は安全性重視、といった肌感を数値と紐づける。
  • 病院と一般BtoBを分ける:病院は審査日と働き方KPI、一般BtoBは投資計画と決算期を表示。
  • 責任分界を明確に:各KPIに担当を明記。「誰の数字か」が曖昧だと、打ち手が決まらない。
  • 毎週更新、毎月棚卸し:週次は詰まりを一つだけ選び対策を決める。月次はKPI自体の見直し(削る・足す)を行い、数を増やしすぎない。

4. 週次の改善サイクル(60分で終わらせる)

  1. 数字を見る(10分):リード→接触→商談→PoC→稟議の順で遷移率を確認。病院案件と一般BtoBを色分け。
  2. 課題を一つ決める(10分):例「商談化率が20%→15%に低下」「稟議差し戻しが増加」「回収期間が18か月に伸びた」。
  3. 原因を絞る(20分):スクリプトの穴、キーマン未特定、審査資料の不足、働き方KPIの弱さ、移動効率の悪化など。
  4. 打ち手を決める(15分):スクリプト修正、チェックリスト追記、合同デモの日程確保、価格帯の再設定、データフロー図の差し込み。
  5. オーナーと期限を宣言(5分):支援会社・代行会社・コンサル・自社メンバーで担当を決め、翌週のレビュー項目に入れる。

5. 日次オペレーションの基本

  • 朝の5分:カレンダーと移動を最適化し、病院・医療・ヘルスケアの訪問は会議体の時間(看護部朝礼、情報部MTG)を避ける。一般BtoBは決裁者の在席時間を確認。
  • 訪問/商談:ヒアリングでは審査日、キーマン、働き方KPI、データフロー、責任分界を押さえる。録音禁止なら、メモ+その場の確認で漏れを防ぐ。
  • 当日フォロー:資料送付は24時間以内。課題・効果・次回アクションを3行にまとめ、関西らしく「いつまでに何をするか」をはっきり伝える。
  • 夕方の5分:ダッシュボードに数字を入れ、一行日記で感触を残す。「今日は看護部の時間外が刺さった」「大阪の製造業は経営陣が早かった」など、温度感をメモ。

6. KPIごとの具体的な打ち手

  • リード数が足りない:学会・展示会の出展計画を前倒し、ホワイトペーパーを医療/ヘルスケア/一般で3種類作る。大阪・関西・近畿の病院協議会や商工会議所のイベントを活用。代行会社のリスト精度を週次で見直し。
  • 接触率が低い:メールタイトルと時間をABテスト。大阪・京都・神戸で反応時間が違うので、地域別に送信時間を変える。
  • 商談化率が下がる:スクリプトを見直し、初回で審査日・キーマン・働き方KPIを必須質問に。FS同席率を上げ、支援会社が同席してログを取り、QAに反映。
  • PoC合意率が低い:評価指標を3〜5個に絞り、撤退条件と費用負担を明記。病院向けは安全性と労務、一般BtoBは回収期間とTCOを前に出す。
  • 稟議通過率が落ちる:データフロー図、責任分界、回収期間、代替案比較を1枚で揃える。看護部・情報部・経営企画の懸念を別紙で解く。
  • 回収期間が伸びる:価格モデルを見直し、段階導入や成果連動を提案。代行会社や支援会社の稼働を一部レベニューシェアにすることで初期費用を抑え、院内の負担感を下げる。

7. 病院・医療・ヘルスケア特有のKPI運用

  • 審査日キャッチ率:倫理・情報・購買・役員会の予定を初回で聞き、カレンダー化。逃すと3か月遅れる。
  • 働き方KPIの前倒し:時間外削減、夜勤負荷、転記ミス、問い合わせ件数を「現状→PoC→本導入」で示す。看護部と情報部で刺さる指標が違うので両方を入れる。
  • データとセキュリティの透明化:アクセス権、ログ、更新手順、責任分界を資料に入れ、質問を先取りする。
  • オンボーディングのKPI:初回教育完了率、問い合わせ初動時間、デモ機滞留日数。ここが高いと稟議後の離脱が減る。
  • 地域特性:関西・近畿の再編情報(統合、新棟開設、体制変更)を月次で共有。計画が動くタイミングに合わせて提案すると、稟議が通りやすい。

8. 一般BtoB向けの調整ポイント

  • 投資計画と決算期:決算前は稟議が重い。決算後のタイミングで短期ROIを示すと決まりやすい。
  • 決裁者の立ち位置:購買・IT・現場・経営で評価軸が異なる。資料は1セットで4枚構成にし、立ち位置別の懸念を1枚ずつ用意。
  • 回収期間の見せ方:月次キャッシュフローと人件費削減を並べ、12か月以内で戻る形を作る。
  • インサイド/フィールドの役割分担:インサイドが課題と導入動機を押さえ、フィールドは懸念潰しと合意形成に集中。ここを曖昧にするとKPIがブレる。

9. 関西・近畿で機能したトラッキングの工夫

  • 移動時間の見える化:Googleカレンダーに移動も予定化し、週次で「移動に何時間使ったか」を出す。1時間削ると面談が1件増える。
  • タグ管理:リードに「病院/医療/ヘルスケア/一般」「大阪/京都/兵庫/奈良」「支援会社/代行会社/コンサル同席」などタグを付け、分析を早くする。
  • 短文ログ:訪問後に「誰の時間を何分減らせそうか」を1行で残すと、提案の角度が揃う。
  • デイリースタンドアップ:朝5分の更新で、代行会社・インサイド・FS・支援会社が同じ情報を握る。

10. ケーススタディ(3つ)

ケース1:大学病院向けAIドキュメント提案

リードは学会展示と紹介。商談化率が低下したのでスクリプトを刷新し、審査日と働き方KPIを必須質問に。PoC指標を「申し送り時間」「問い合わせ件数」「誤生成率」に絞り、回収期間を11か月で提示。稟議通過率が68%→82%に改善。

ケース2:大阪の製造業向けSaaS

接触率が下がったため、送信時間を朝7時と夕18時に分け、大阪・京都・神戸でABテスト。商談化率が15%→24%に回復。インサイドとFSの役割を明確にし、PoC合意率も1.3倍。

ケース3:在宅医療機器の販路拡大

代行会社がリード数を増やしたが回収期間が長い。価格を3段階にし、成果連動比率を上げたところ、稟議通過が早まり回収期間が18か月→12か月に短縮。

11. 失敗から得た教訓

  • KPIを増やしすぎる:10個を超えると誰も覚えない。削る勇気を持つ。
  • 役割不明で責任がぼやける:KPIに担当名を書き、週次で口に出す。
  • 数字だけを追って現場が疲弊:一行日記で小さな達成を共有。
  • 病院と一般を同じテンプレで扱う:審査日・働き方KPIを入れないと病院は止まる。
  • 地域差を軽視:関西・近畿の再編や時間外削減目標を無視すると、温度が上がらない。

12. チェックリスト(抜粋20項目)

  1. KPIは4〜6個に絞ったか
  2. 結果・手前・習慣に分けて設定したか
  3. 役割(支援会社/代行会社/コンサル/IS/FS)を明記したか
  4. 移動時間をカレンダーに入れたか
  5. 病院の審査日を初回で押さえたか
  6. 働き方KPI(時間外/夜勤負荷/問い合わせ件数)を測る準備があるか
  7. 資料にデータフロー・責任分界を入れたか
  8. 稟議用の回収期間と代替案比較を用意したか
  9. メールABテストの結果を週次で見たか
  10. スクリプトを週1で更新したか
  11. ログ提出率を追っているか
  12. 学会・展示会の計画を前倒ししたか
  13. ホワイトペーパーを3業界向けに作り分けたか
  14. PoC評価指標を3〜5個に絞ったか
  15. 失注・差し戻し理由を分類したか
  16. 外部パートナーとのSLA遵守率を確認したか
  17. 朝5分・夕5分の習慣を続けているか
  18. 関西・近畿の再編情報を月次で共有したか
  19. 小さな成功を一行日記で共有したか
  20. 本文に自然な導線で「詳しくはこちら」を置いたか

13. よくある質問(Q&A)

Q:KPIを変えるタイミングはいつが良いですか?
A:月次レビューで「動かない数字」「意味の重複」を削り、新しい仮説が出たときに一つだけ追加します。毎週変えるのはNG。

Q:代行会社・支援会社とのKPI共有はどうしていますか?
A:週次の15分でダッシュボードを画面共有し、遷移率と詰まりを一つだけ決めます。SLAを固くしすぎると疲れるので、改善案をセットに。

Q:病院の稟議が長く、数字が動きません
A:審査日と働き方KPIを必ず初回で聞き、回収期間を12か月以内に設計します。情報部・看護部・経営企画それぞれに刺さる1枚を用意すると通過が早くなります。

14. 内部リンクと導線

  • 課題記事→解決記事→LPの流れで本文中に「詳しくはこちら」を自然に配置。病院・医療・ヘルスケア向けのチェックリストをLPで配布しています。
  • サイドバーや固定バナーで「医療業界特化 伴走型営業支援サービス」を案内し、支援会社としての役割を明確に。
  • 提案の最後は「誰の時間をどれだけ減らすか」で締め、LPへのクリック理由を作る。

15. 継続運用のコツ(文化づくり)

  • 数字を責めず、原因を探す:遷移率が落ちても叱責より前提の確認。「キーマン情報は取れているか」「移動が詰まりすぎていないか」を会話でほぐすと回復が早い。
  • 関西らしい一体感:朝の5分で「昨日の小さな良かったこと」を一人一つ。大阪・関西・近畿のチームは雑談が潤滑油になる。
  • 可視化をシンプルに:ダッシュボードは一画面で完結。関係者が多い病院案件でも「今どこに詰まっているか」が一目で分かれば、支援会社も代行会社も動きやすい。
  • スクリプトと資料を週次で更新:現場の言葉が変われば商談化率も変わる。生成AIで初稿を作り、現場の声で仕上げるとスピードが落ちない。
  • 小さな祝杯を挟む:回収期間が短縮した、審査日を逃さず通過した、そんな日に近所の喫茶店で5分のコーヒー。営業・事業開発・販路開拓の長距離走でも、気持ちが持つ。

16. まとめ

KPIは少数に絞り、日次・週次の小さな改善で回すと、病院営業でも一般BtoBでも迷わず進めます。大阪・関西・近畿を動き回る中で痛感したのは、数字だけでなく「誰の時間を減らせたか」という実感を残すこと。支援会社・代行会社・コンサルと役割を決め、移動も含めて可視化すれば、商談化率も稟議通過率もゆっくり上がります。雨の日の院内カフェでも、短文のログとKPIの色分けがあれば迷いません。今日も5分だけ振り返り、「詳しくはこちら」でLPに読者を誘導しながら、次の一歩を整えます。次週のレビューで数字と感触を揃え、また走ります。

追加リソース

KPIテンプレート、朝夕の5分レビューシート、病院向け稟議セットのサンプルをLPにまとめました。詳細は詳しくはこちらをどうぞ。

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