大阪・関西・近畿を中心に病院や法人を回る医療スタートアップで、営業リソース不足とノンコア業務の多さに悩みました。外資コンサル出身として戦略は描けても、移動・資料作成・議事録・デモ機管理・学会対応などで時間が奪われ、肝心の営業・事業開発・販路開拓に手が回らない。支援会社・代行会社・コンサル、生成AI、BPOを組み合わせ、病院・医療・ヘルスケア特有の制約下で効率化した方法をまとめます。
1. ノンコア業務の棚卸し(最初の7日)
- 分類の軸:売上直結(コア)か否か、専門性が必要か、委託リスク(情報・ブランド・法務)があるか。
- リスト化:資料初稿、議事録・要約、デモ機搬送・清掃・保守、学会展示準備、リードリスト整備、インサイド定型対応、移動・スケジュール調整、反社チェック、稟議用データ整理など。
- 優先順位:時間を奪っている上位5つを先に外出し検討。
- ガバナンス:反社・再委託禁止、データアクセス範囲を決めておく。医療・ヘルスケアではここが甘いと一瞬で信頼を失う。
2. 外出し/自動化の方針
- 資料初稿:生成AI+代行会社で初稿を作り、社内で最終化。医療マナーやデータフローは自社が握る。
- 議事録・要約:録音は禁止が基本。リアルタイムメモ+AI要約で時間短縮。院内情報は持ち出さない。
- デモ機・サンプル管理:搬送・清掃・保守をチェックリスト化し、BPO/代行に委託。SLAに衛生・時間厳守・再委託禁止を明記。
- 学会展示:装飾・設営・撤去・資材管理をBPOに任せ、キーマン対応に集中。
- リードリスト整備・インサイド定型:代行に委託し、スクリプトとログフォーマットを支給。
- スケジュール・移動最適化:関西・近畿内で訪問をまとめ、移動1時間以内を基本に組む。
3. 役割分担とSLA
- 役割:自社はシナリオ・価格・キーマン合意・稟議セット。外部はアウトバウンド、資料初稿、議事録、デモ機管理、学会準備など。
- SLA:応答時間、納期、ログ提出、インシデント報告(24h/72h)、再委託禁止、反社チェック、データアクセス範囲。
- 教育:病院でのマナー(撮影/録音禁止、時間厳守、名刺・身分証携行、感染対策)、情報セキュリティ、関西の商習慣を研修。
- リスク:ブランド毀損・情報漏洩のリスクが高いものは外出ししないか、厳格に制御。
4. 30・60・90日プランで回す
0〜30日
- ノンコア業務を棚卸し、外出し/自動化対象を決定。
- 契約にSLA・R&R・反社・再委託禁止・データ範囲を明記。
- テンプレ(資料、議事録、ログ、デモ機チェックリスト)を整備。
- 生成AIの利用ポリシーを策定(持ち出し禁止、ログ保存、院内情報の扱い)。
31〜60日
- 外出し開始、週次でSLA遵守と品質を確認。
- 面談ログと学びをテンプレに反映し、トーク・資料をアップデート。
- 移動最適化(大阪・関西・近畿内で訪問固め)、オンライン併用を徹底。
- 学会・イベントのBPO活用をテスト。
61〜90日
- 成果測定(時間削減、コスト削減、面談数、商談化率、PoC合意)。
- 内製化/外出しの線引きを再評価し、SLAと契約を見直す。
- 横展開:他エリア・他チームへの展開手順(資料・トレーニング・SLA)をまとめる。
5. KPIと効果測定
- 時間削減:資料作成、議事録、移動、デモ機準備にかかる時間を週・月で計測。
- 面談数・商談化率:外出し後に増えた面談数と商談化率。
- PoC合意/稟議通過:ノンコア効率化で「進みが速くなったか」を確認。
- コスト:外部費用 vs 時間削減による人件費換算、移動・デモ機コスト減。
- 品質:クレーム件数、ログ提出率、SLA遵守率。
6. ケーススタディ(関西・近畿での3例)
ケース1:資料初稿と議事録の外出し
代行+生成AIで初稿と要約を作成。医療マナーとデータフローは自社がチェック。資料作成時間を週6時間削減、面談準備が増え商談化率が向上。
ケース2:デモ機管理のBPO
搬送・清掃・保守をチェックリスト化し、BPOに委託。滞留と破損が減り、同じ台数で扱える案件が1.4倍に。
ケース3:学会展示の外出し
装飾・設営・撤去をBPOに依頼し、営業はキーマン対応に集中。ブース運営のトラブルが減り、商談リードが前回比150%。
7. よくある失敗と回避策
- 役割不明で漏れ/重複:SLA・R&Rを契約で明確に。
- ログ不備で学びが貯まらない:フォーマットを固定し、提出を週次でチェック。
- 情報漏洩・ブランド毀損:撮影/録音禁止、データ持ち出し禁止、再委託禁止を徹底。
- 内製化が進まない:90日ごとに線引きを見直し、必要なものは自社に戻す。
- 地域特性を無視:関西・近畿の働き方KPIや再編を無視して提案し、温度が上がらない。
8. ツールとテンプレ
- 生成AI:初稿/要約、FAQ案の作成。持ち出し禁止とログ保存を徹底。
- チェックリスト:デモ機・搬送・学会・議事録の標準フロー。
- プレイブック:トーク、FAQ、キーマンマップ、ログフォーマット、SLAを集約。
- ダッシュボード:時間削減、面談数、商談化率、PoC合意、コスト、クレーム数を可視化。
- カレンダー連携:訪問・審査日・役員会を可視化し、移動を最適化。
9. オペレーションの1日(サンプル)
- 08:30 全体朝会(5分):関西・近畿の訪問計画と移動調整を確認、キーマン情報のアップデートを共有。
- 09:00 移動/メール下書き:社内で価値確認待ちの案件に資料ドラフトを送付。生成AIで初稿を作り、医療マナーとデータフローだけ手直し。
- 10:00 病院訪問1件目:看護部・情報部とのヒアリング。録音せずメモ+AI要約。審査日を確認し、次回までの宿題を合意。
- 12:00 移動中メンテ:デモ機の状態を写真で共有し、BPOに清掃とバッテリー交換を依頼。
- 14:00 一般BtoB商談:大阪の製造業で課題深掘り。代行会社が事前に温度感と導入動機を取得済み。
- 16:00 院内で15分レビュー:今日は「誰の時間を何分減らせたか」をメモし、プレイブックに反映。
- 17:00 社内共有:ログをテンプレで提出、面談数・商談化率の変化をダッシュボードで確認。
このルーティンを回すと、ノンコアに飲み込まれず、営業・事業開発・販路開拓の時間が守られます。
10. SLAと契約の具体例(抜粋)
- 応答時間:問い合わせは24時間以内、学会・デモ機トラブルは4時間以内に一次回答。
- ログ提出:訪問当日中に所定フォーマットで提出。キーマン、審査日、懸念を必須フィールドに。
- 品質保証:資料の誤記・誤送付は48時間以内に訂正、再発防止策を共有。
- 再委託禁止・反社条項:大阪・関西・近畿エリアの提携先にも同条件で周知。
- データアクセス範囲:個人情報や院内データへのアクセスを禁止、必要な場合は事前承認制。
- 成果指標:面談設定数、商談化率、PoC合意数を月次でレビューし、未達時の改善計画を30日以内に提出。
11. 教育と内製化の進め方
- 初週オリエン(90分):病院でのマナー、撮影/録音禁止、感染対策、関西・近畿の商習慣、セグメント別トークの演習。
- 同席期間(3週間):支援会社・代行会社とFSが同席し、議事録と資料修正の質を揃える。
- テストとフィードバック:週1回ロールプレイを実施し、チェックリスト準拠率と回答の正確性をスコア化。
- 内製化マイルストーン:90日以内に資料初稿と議事録を自社だけで回せる状態を目指し、残す外出し範囲を見直す。
- 知識ベース:FAQ、キーマンマップ、SLA、プレイブックをNotion等で共有。タグ(病院/医療/ヘルスケア/大阪/関西/近畿)で検索性を高める。
12. 追加ケース(病院と一般BtoB)
- 病院向け:夜勤負荷軽減PJ
看護部と情報部の双方に評価指標を合わせるのに苦戦。夜勤帯の運用フロー図を外部に描いてもらい、FSが安全・責任分界を上書き。資料作成は外出し、稟議資料は自社で管理。回収期間を11か月で提示し稟議通過。 - 一般BtoB:大阪の製造業での販路開拓支援
代行会社がアウトバウンド、支援会社がシナリオと資料初稿を担当。自社は価格とキーマン合意を握り、月次で商談化率とクレーム件数をレビュー。面談数1.5倍、商談化率1.3倍、コストはほぼ横ばいで時間外が週5時間減。 - 医療機器メーカー:学会シーズンのピーク対応
学会展示と病院訪問が重なる時期、デモ機搬送とブース設営をBPOへ。営業は商談とキーパーソン挨拶に集中し、リード回収→温度感判定→フォローを当日中に完了。回収リードの商談化率が25%→38%へ。
13. チェックリスト(抜粋20項目)
- ノンコア業務を棚卸し、上位5つを外出し候補にしたか
- 反社・再委託禁止、データアクセス範囲を契約に入れたか
- 病院でのマナー(撮影/録音禁止、時間厳守、感染対策)を全員が理解したか
- 資料初稿・議事録・ログのテンプレを整備したか
- 生成AIの利用ポリシー(持ち出し禁止、ログ保存)を定めたか
- デモ機チェックリスト(搬送・清掃・保守・返却)を作成したか
- 学会展示の役割分担表とタイムラインを共有したか
- リードリスト整備とインサイドの定型対応を外出ししたか
- 移動最適化(大阪・関西・近畿で1日2〜3件に固める)を実行しているか
- 面談ログを当日中に提出し、キーマン・審査日・懸念を埋めたか
- 週次でSLA遵守率とクレーム件数を確認しているか
- 月次で商談化率・PoC合意数・回収期間をレビューしたか
- 失注理由を分類し、テンプレに反映したか
- 学会・診療報酬改定・地域再編の予定を営業計画に織り込んだか
- 支援会社・代行会社・コンサルのR&Rを更新し共有したか
- FAQとキーマンマップを最新化し、検索タグを付けたか
- 外部への教育(オリエンとロールプレイ)を月1回実施したか
- データ持ち出し禁止とログ保存が守られているかを監査したか
- コア業務(価格・キーマン合意・稟議セット)は自社で握れているか
- LP/内部リンクの導線を本文に自然に配置したか
14. よくある質問(Q&A)
Q:外出しで品質が落ちるのが怖いです
A:初稿は外で作り、最終稿とデータフロー・責任分界は自社で握る線引きを徹底します。SLAに誤記修正の期限と再発防止策共有を入れると品質が安定します。
Q:病院で録音禁止だと議事録が漏れます
A:2人体制でメモし、会議後すぐに要点を箇条書き。その場で「聞き漏れがないか」確認を入れるだけで精度が上がります。AI要約はメモを入力して使うと短時間で整理できます。
Q:コストが先行してしまいます
A:時間削減を人件費換算し、面談数・商談化率の改善とセットで見ます。回収期間が12か月以内なら続ける、超える場合は内製化を早める、と基準を決めると判断がぶれません。
15. ダッシュボード例とレビュー会
- 指標の見せ方:面談数・商談化率・PoC合意数・回収期間・クレーム数・ログ提出率をステージ順に並べ、赤黄緑の3色で可視化。
- レビューの順番:数値→原因→打ち手の順で3点だけ決める。長い会議は禁止。
- 地域別の切り口:大阪・関西・近畿で分けると、移動効率や会議体の違いが見え、次週の訪問計画に直結する。
- 外部も巻き込む:支援会社・代行会社・コンサルを月次で同席させ、SLA遵守率と失注理由を共有。改善策を翌月のスクリプトに反映させると、温度感が揃う。
- 小さな勝ちの共有:「今日は誰の時間を何分減らせたか」を毎回一つ出すと、外部チームとの士気が上がり、病院・医療・ヘルスケアの長期案件でも疲れにくい。
16. 内部リンクと導線
- 課題記事→解決記事→LPの流れで本文中に「詳しくはこちら」を配置。
- サイドバーや固定バナーで「医療業界特化 伴走型営業支援サービス」を案内。
- CTAは「誰の時間をどれだけ減らすか」を繰り返し、課題と提案を結びつける。
17. まとめ
ノンコア業務の効率化は、線引き・SLA・仕組み化の3点で決まります。何を外に出し、何を自社で握るかを決め、学びをテンプレに残し、90日で見直す。関西・近畿の現場で学んだこの型は、病院営業でも一般BtoBでも使えます。大阪の夕方に移動しながら、支援会社・代行会社・コンサルとのチャットを見返すと、ほんの数行でも改善点が見つかります。今日も院内のカフェで5分だけ振り返ります。「誰の時間を減らせたか」「どの懸念を潰せたか」。答えが一つでもあれば、次の一歩は軽くなります。
また病院へ。
追加リソース
ノンコア業務の外出しやSLA例、伴走型支援の進め方はLPにまとめています。詳細は詳しくはこちらをご覧ください。
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