大阪・関西・近畿で大学病院営業と一般BtoBの販路開拓を統括しています。業績が頭打ちになったとき、営業戦略をどう見直し、どこから手を付けるか。支援会社・代行会社・コンサルを活用しつつ、自社の営業・事業開発・販路開拓の骨格を再構築した手順をまとめました。病院・医療・ヘルスケアに寄せていますが、一般BtoBにもそのまま使えるフレームです。
1. 見直すべきタイミング(兆候)
- 受注が前年同期比で連続2四半期マイナス。
- パイプラインが細り、リード→商談→PoCの転換率が低下。
- 価格競争が激化し、単価が下がる一方でコスト(移動、デモ機、サポート)が増加。
- 病院なら審査遅延や差し戻しが増え、働き方KPI(時間外削減)に響かないと指摘される。
- チームの疲弊や離職が見え始め、学びが属人化している。
2. 再構築フレームワーク(5ブロック)
- 市場とターゲットの再定義:病院/医療/ヘルスケアなら診療科×意思決定プロセス、一般BtoBなら業界×決裁者×導入動機で再セグメント。地域は大阪・関西・近畿など移動効率も考慮。
- 提供価値の再設計:誰の時間をどれだけ減らすか、どのリスクを下げるか、回収期間とTCOを数字で再定義。
- シナリオと営業プロセス:認知→課題→PoC→稟議→契約→オンボーディングのステージで必要な資料・トーク・評価指標を棚卸し。
- オペレーションとSLA:支援会社・代行会社・コンサルとの分担、応答SLA、インシデント対応、面談ログ共有、内製化ロードマップを決める。
- KPIと改善サイクル:リード→商談→PoC→稟議→受注の各転換率、回収期間、TCO、働き方KPI(時間外削減)、内製化進捗を週次/月次で回す。
3. ステップ別の進め方(30・60・90日)
0〜30日:現状把握と設計
- データ収集:ファネル数値、リードソース、差し戻し理由、サポート負荷、移動コスト、デモ機稼働率。
- ターゲット再定義:セグメントを3つに絞り、課題を1行で再設定。
- 提供価値の言語化:時間削減・リスク低減・回収期間・TCOを数字で。
- シナリオと資料束の棚卸し:足りない資料(データフロー、責任分界、PoC計画、稟議セット)を洗い出し、テンプレ化。
- 役割とSLA:支援会社・代行会社・コンサルとの分担とSLA、反社・再委託禁止、データアクセス範囲を契約に明記。
31〜60日:実行と補正
- アウトバウンドを再開(代行活用)、伴走的に初回同席で課題深掘り。
- 週次でファネル詰まりを1つ決め、トーク・資料・PoC設計を更新。
- 審査日(倫理・情報・購買・役員会)を押さえ、遅延を潰す。
- ワークショップや合意形成の場を連続で設定(合同デモ→PoC設計会→中間報告→稟議前レビュー)。
- 働き方KPIを必ず数字で共有し、関西・近畿の中期計画や再編に紐づける。
61〜90日:稟議と内製化・横展開
- PoC結果を稟議セットに格納し、回収期間と労務インパクトを数字で提示。
- 内製化トレーニング:観て学ぶ→やってみる→任せるのサイクルを回し、伴走タスクを移管。
- 横展開プロトコル:グループ病院/他部署/他業界への展開手順(契約・教育・データ移行・サポート)を1枚に。
- KPIレビュー:リード→商談→PoC→稟議→受注、TCO、働き方KPI、内製化進捗を確認し、次の90日を設計。
4. 提供価値の再設計ポイント
- 時間削減:誰のどの時間を週/月/年で何分削るか。病院なら看護部・情報部・経営企画の時間外、一般BtoBなら現場・IT・購買の工数。
- リスク低減:インシデント、転記ミス、ダウンタイム、コンプライアンス違反をどれだけ減らすか。
- 回収期間・TCO:導入・保守・教育・運用を分解し、回収期間を月数で示す。
- 「なぜ今」:中期計画、病院再編、働き方改革KPI、地域(大阪・関西・近畿)の再編スケジュールに紐づける。
- 代替案比較:現状維持、人材派遣、代行会社、支援会社との比較を1枚で。
5. 営業プロセスの再設計
- 認知→課題:リードジェン手法(セミナー、ホワイトペーパー、学会展示)、スクリプト、温度感定義。
- 課題→PoC:課題深掘りとキーマン特定、PoC計画(目的・期間・評価指標・撤退条件・費用負担)。
- PoC→稟議:効果試算(時間外、TCO、回収期間、リスク低減、働き方KPI)、責任分界、契約条件。
- 稟議→契約→オンボーディング:審査日程管理、教育計画、問い合わせ窓口、リリース管理。
- 横展開:グループ病院・他拠点へのスケール手順、追加コスト、サポート体制。
6. オペレーションとSLA
- 反社・再委託禁止、データアクセス範囲、ログ共有、面談メモ提出、インシデント報告(24h/72h)をSLA化。
- デモ機・サンプルの管理(搬送・回収・清掃・保守)をルール化。
- 週次のステージ管理表でリード→商談→PoC→稟議→受注の詰まりを見える化。
- 内製化ロードマップを契約に付属し、90日ごとに見直す。
7. KPIと改善サイクル
- 指標例:面談設定、商談化率、PoC合意率、稟議通過率、回収期間、TCO、時間外削減、問い合わせ件数、内製化進捗。
- サイクル:週次で詰まりを1つ決める→テンプレ更新→翌週試す→結果を記録→月次で総括。
- 可視化:ダッシュボードでステージ別の数値とリスクを提示し、次の一手を決める。
8. ケーススタディ(再構築前後)
ケース1:大学病院DX(文書生成)
- Before:情報部・看護部・倫理で差し戻しが続き、稟議に「なぜ今」が弱かった。
- After:データフロー・責任分界・働き方KPIを先出し、PoC評価指標を3つに絞り、90日で稟議通過。回収期間11か月。
ケース2:一般BtoB SaaS(関西の製造業)
- Before:リード不足と提案のばらつき。
- After:ターゲットを3セグメントに絞り、シナリオと資料を7日で再構成。代行で面談数3倍、受注率1.5倍。
ケース3:在庫・購買最適化(民間病院グループ)
- Before:購買・薬剤・臨床工学の合意形成が進まず停滞。
- After:ワークショップで課題と指標を整理し、横展開プロトコルを用意。半年で在庫圧縮15%、廃棄20%減。
9. よくある失敗と回避策
- 資料後出し:審査サイクルを逃す → データフロー・責任分界・PoC計画を初回で渡す。
- 評価指標が多すぎ:測れない → 3〜5個に絞る。
- 内製化計画なし:外部依存が続く → 90日で移管マイルストーンを設定。
- 地域特性を無視:関西・近畿の再編や働き方KPIを入れない → 温度が上がらない。
- 学びの属人化:ログが貯まらない → 週次でプレイブックを更新。
- 価格競争に巻き込まれる:運用価値(時間外削減、TCO、働き方)を稟議セットに入れる。
10. ツールとテンプレ
- プレイブック:トーク、FAQ、キーマンマップ、面談ログ、テンプレリンクを1冊に。
- PoCテンプレ:目的・期間・評価指標・撤退条件・費用負担・体制を標準化。
- 稟議セット:労務インパクト、TCO、回収期間、代替案比較、リスク対策、横展開プロトコル。
- デモ機管理表:貸出・回収・清掃・保守をカレンダー化。
- ダッシュボード:ファネル、KPI、内製化進捗を可視化。
- 生成AI:初稿と議事録要約の自動化でスピードを上げる。
11. 日々のルーティン
- 面談後10分で「良かった点/詰まり/次の打ち手」を記録。
- 週末に失注・差し戻し理由を見返し、次週の仮説を1つ決める。
- 月1で中期計画・地域再編(大阪・関西・近畿)・働き方KPIを更新。
- 病院のカフェで5分、「誰の時間を減らせたか」「どの懸念を潰せたか」を自問。
12. ケーススタディ(再構築の実例)
ケース1:大学病院DX(文書生成)
- 課題:差し戻しと審査遅延が多発し、受注ゼロ。
- 見直し:ターゲットを3診療科に絞り、評価指標を「申し送り時間」「誤生成率」「問い合わせ件数」に絞る。データフロー・責任分界を初回で提示。
- 結果:90日でPoC合意、稟議通過。回収期間11か月。系列病院に横展開。
ケース2:一般BtoB SaaS(関西製造業)
- 課題:リード不足と提案のばらつき。
- 見直し:業界を3つに絞り、シナリオと資料を7日で刷新。代行でアウトバウンド強化、支援会社が初回同席。
- 結果:3か月で面談数3倍、受注率1.5倍、回収期間短縮。
ケース3:購買最適化クラウド(民間病院グループ)
- 課題:購買・薬剤・臨床工学の合意形成が進まない。
- 見直し:ワークショップで課題とKPIを整理し、横展開プロトコルを作成。
- 結果:半年で在庫圧縮15%、廃棄20%減。3病院に展開。
13. 契約・価格交渉の勘所
- 順番:役割分担とSLA、コンプライアンス(反社・再委託禁止・データアクセス範囲)を先に決め、価格は後。
- 成果連動:面談設定、商談化、PoC合意、稟議通過など複数指標でバランスを取る。
- 期間:3か月ごとに見直せる契約にし、更新時に条件再調整。
- 解約条件:重大違反時の即時解約条項を明記。
- 内製化:契約に内製化マイルストーン(90日ごと)を付ける。
14. 評価指標とダッシュボード設計
- ファネル指標:リード、商談、PoC、稟議、受注。転換率とリードタイム。
- 財務指標:回収期間、TCO、粗利、LTV/CAC。
- 運用指標:時間外削減、問い合わせ件数、インシデント、デモ機稼働率。
- 人・組織指標:離職率、トレーニング完了率、Q&A応答時間。
- ダッシュボード:週次で更新し、詰まりを1つだけ選んで改善する。
15. 部門間の合意形成術
- 病院の場合:情報部・看護部・ME・経営企画の懸念を初回で出し切る。審査日程を押さえ、資料後出しをゼロに。
- 一般BtoBの場合:IT/情報、現場責任者、購買、経営の懸念を整理。稟議フォーマットを事前に入手し、必要資料を先出し。
- ワークショップ:1時間で課題・評価指標・役割分担を合意し、議事録を即日共有。
- 持ち帰り項目:時間が足りない場合は宿題を明確にし、期限を決めて再設定。
16. 内製化ロードマップ(90日)
- Week1〜2 観る:伴走が主に話し、自社はログと学びをまとめる。
- Week3〜6 やってみる:自社がメインで話し、伴走が補足。議事録と改善点を即日反映。
- Week7〜12 任せる:自社が初稿・PoC計画・稟議セットを作り、伴走はレビューのみ。
- 判定:提案初稿作成時間、PoC合意率、稟議通過率、問い合わせ一次応答時間で定着度を測る。
17. 営業戦略見直しチェックリスト(40項目抜粋)
- 受注・転換率の低下が続いているか
- ターゲットを3セグメントに絞り直したか
- 提供価値(時間削減・リスク低減・回収期間・TCO)を数字で再定義したか
- シナリオと資料束を棚卸し、欠けているものを補ったか
- データフロー・責任分界・PoC計画・稟議セットを初回で渡せるか
- 働き方KPIと地域(大阪・関西・近畿)の中期計画を反映したか
- 支援会社・代行会社・コンサルの役割とSLAを契約で明確にしたか
- 反社・再委託禁止・データアクセス範囲を定義したか
- 面談ログと学びを週次でテンプレに反映しているか
- 審査日や役員会日程をカレンダー化したか
- PoC評価指標を3〜5個に絞ったか
- 回収期間と代替案比較を稟議に入れたか
- 横展開プロトコルを1枚で用意したか
- 内製化マイルストーンを90日ごとに設定したか
- ダッシュボードで週次に詰まりを見ているか
- デモ機・サンプルの管理ルールを整備したか
- インシデント対応(24h/72h)を決めたか
- 面談後10分の振り返りを続けているか
- 週末の失注・差し戻しレビューを続けているか
- LPや内部リンクの導線を整備したか
18. よくある質問(Q&A)
Q:どこから手を付けるべきですか?
A:データを集め、ターゲットと価値を1行にし、シナリオと資料束の不足を埋めるのが最速です。アウトバウンドを再開しつつ、合意形成の場を連続で押さえます。
Q:伴走と代行、コンサルは必要ですか?
A:多層意思決定や審査が多い医療・ヘルスケアでは、支援会社(伴走)で型づくり、代行で面談数確保、コンサルで戦略レビューが有効です。
Q:価格競争から抜けるには?
A:運用価値(時間外削減、TCO、働き方KPI)を稟議セットに入れ、代替案比較を数字で示します。「なぜ今か」を中期計画と地域再編に紐づけます。
19. 事例からの学び(短文メモ)
- 審査日は最初に聞く。逃すと3か月遅れる。
- 「簡単です」は禁句。手順と時間を数字で。
- 面談ログは10分でまとめ、週次でテンプレ更新。
- 働き方KPIを数字で話すと温度が上がる。
- 失注直後に次の訪問を入れると勢いが切れない。
- 役割とSLAを契約で明確にしないと、漏れと重複が必ず起きる。
20. 内部リンクと導線
- 課題記事→解決記事→LPの流れを意識し、本文中で自然に「詳しくはこちら」を配置。
- サイドバーや固定バナーで「医療業界特化 伴走型営業支援サービス」を案内。
- CTAでは「誰の時間をどれだけ減らすか」を繰り返し、課題と提案を結びつける。
21. まとめ
営業戦略の見直しは、複雑に見えて実は基本の徹底です。ターゲットと価値を絞り、プロセスとSLAを整え、週次で学びを回す。支援会社・代行会社・コンサルの力を借りつつ、内製化を90日サイクルで進める。関西・近畿で学んだこの型は、病院営業でも一般BtoBでも通用しました。今日も院内のカフェで5分だけ振り返ります。「誰の時間を減らせたか」「どの懸念を潰せたか」。答えが一つでもあれば、次の90日も前へ進めます。
また病院へ。
追加リソース
営業戦略の再構築フレームやテンプレ、伴走型支援の進め方はLPにまとめています。詳細は詳しくはこちらをご覧ください。
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